松の寿 松井酒造 (まつのことぶき)
●水に惚れた!美しさに惚れた!栃木県の銘酒「松の寿(まつのことぶき)」
栃木県北部、日光東照宮で有名な日光市の隣、塩谷郡塩谷町(しおやぐんしおやまち)の地酒「松の寿(まつのことぶき)」
この酒を語る上で決して外せないのが「水」
私は「水」に惚れて「松の寿」を皆様にご紹介したいと強く思うようになりました。
「松の寿」を造る「松井酒造店(まついしゅぞうてん)」で使用されている水は、蔵の裏から採取される湧き水。
栃木県で唯一、湧き水で酒造りをされている蔵元です。
そのお水の特徴は「超軟水」
栃木県で一番軟らかいお水です!
この軟らかさは衝撃的で、「松の寿」のどの酒を飲んでもお水の軟らかさが感じられ、心がどんどん惹き付けられるのです。
それでは、酒の説明の前にまずは蔵の成り立ちについてご紹介して参ります。
●「松の寿」を醸す「松井酒造店」の歴史
「松井酒造店」の創業は1865年(慶応元年)
創業者は松井九郎治(まついくろうじ)さんで、出身は片貝まつりの花火で有名な現在の新潟県小千谷市片貝町です。
名前の通り、松井家の九番目に生まれた九郎治さんは故郷を離れ、働きに出ることになりました。
こうして三国峠を越えて辿り着いたのが、良質な水が湧く現在の地です。
九郎治さんはその水を生かし、元々別の方の所有であった蔵を買い取り、「松井九郎治商店(まついくろうじしょうてん)」として酒造りを開始。
これが、「松の寿」の原点です。
その後、2代目までは松井九郎治を襲名されて来たのですが、3代目の降治(こうじ)さんの代で法人化。
1953年(昭和28年)に「松井酒造店」に社名を変更し、現在に至ります。
現在の5代目、宣貴(のぶたか)さんは4代目達雄さんの長男として誕生しました。
お姉さん、妹さんがいらっしゃいますが、当時は長男が後を継ぐのが当然という時代。
宣貴さんは蔵の後継ぎとして周りからも期待を一身に受けることになります。
また、宣貴さんご自身も自分が蔵を継ぐことになるのだろうなと子供ながらに思っていらしたそうです。
高校を卒業し、東京農業大学醸造学科に進学。
大学を卒業された後は群馬県高崎市の蔵元で約4年半、酒造りの修行に入られました。
当時は杜氏さんが蔵人を引き連れて蔵に入り、酒造りを行うというのが一般的。
当然、「松井酒造店」でも越後杜氏さんと蔵人が酒造りを行っていました。
そんな中、宣貴さんが修行に入られた蔵元では若い従業員が蔵人と一緒に酒造りをしていたのだそうです。
物作りが好きな宣貴さんにとって、酒造りの修行の日々はとても新鮮で充実した毎日。
蔵に戻ってからも酒造りを続けて行きたい。
そう考えた宣貴さんは、1995年(平成7年)に「松井酒造店」に戻った後も蔵人と一緒に酒造りを続けて行かれたのです。
このことがきっかけとなり、栃木県の酒蔵のスタイルが大きく変わることになります。
●栃木県の蔵元杜氏・下野杜氏の草分け!
「松の寿」・栃木県の酒を語る上で欠かせないのが下野杜氏(しもつけとうじ)
下野杜氏とは、栃木県の認証制の杜氏集団で、現在、栃木県では30名弱の方が下野杜氏として認証され、酒造りに携わっていらっしゃいます。
下野杜氏は杜氏さんの組合である、日杜連(日本杜氏組合連合会)にも所属している杜氏集団。
その下野杜氏に初めて認証されたのが宣貴さんなのです。
1998年(平成10年)には、高齢だった越後杜氏に代わり、宣貴さんが杜氏として「松井酒造店」の酒造りを仕切られることになりました。
しかし、当時は宣貴さんが杜氏として酒造りを行っていることを隠していらっしゃったそうです。
それは、越後杜氏や南部杜氏が酒造りを行うのが当たり前だった栃木県において、蔵の後継ぎが酒造りを行っているということを周りが不安視していたからです。
この流れが変わり始めたのが、宣貴さんの後輩に当たる栃木県の蔵の後継者が次々に大学を卒業し、修行から戻り始めた頃。
宣貴さんが中心となって酒造りを行っていることが広まり始めると、周りの蔵元さんも、
「松井ん家の息子も酒造りをやってるみたいだからお前もやってみろ。」
そういう声が少しずつ増えて来ました。
こうして、栃木県の中で蔵の後継ぎによる酒造りの「輪」が広がって来たのです。
そこで、栃木県の先生方も交えて、鬼怒川温泉で意見交換や勉強を兼ねた慰労会を開催。
やがて、県の酒造組合も加わり、杜氏さんの世代交代が終わる前に次世代を育てるべく、養成講座を開くことになったのです。
更に関東信越国税局や県の産業技術センターも関わり本格始動。
2006年(平成18年)に初めて宣貴さんは下野杜氏として認証されました。
丁度、この年に5代目に就任。
栃木県の蔵元杜氏・下野杜氏の草分けとして、活躍されています。
●水の美味さは日本を越え世界へ!「松の寿」の更なる飛躍!
「松の寿」が栃木県を越え、全国的に名が知られるようになったのには幾つかの要因があります。
1つ目は国内外の市販酒のコンテストや全国新酒鑑評会における数々の受賞歴。
酒質のレベルの高さ、コア層というよりは広く親しまれる酒であることを証明しております。
2つ目は宣貴さんの奥様、つまり「松の寿」の女将、真知子さんの存在。
宣貴さんはザ・職人の造り専門。
真知子さんは明るいキャラで蔵の広告塔の役目を担っていらっしゃいます。
松井さんご夫妻は業界や地酒ファンの間でもおしどり夫婦として有名。
二人三脚で「松の寿」を盛り上げていらっしゃいます。
真知子さんは各地で開催されるイベントや試飲販売に精力的に参加されており、マツコトファンから絶大な人気を誇っております。
更に真知子さんが手掛けられた商品も展開されており、「松の寿」の人気は更に高まっています。
そして、これらを支える3つ目が、宣貴さんが蔵元杜氏としてご自身の酒を常にブラッシュアップされていること。
蔵元杜氏のメリット。
それは蔵元自らが目指す酒を自分で造れること。
代替わりするまでは杜氏の交代が無く、造り手の違いによる酒質の変化が起こりません。
少し前の「松の寿」は香り系と言って良い程の華やかさを持ち味にした酒でした。
しかし、香りが華やか過ぎては料理に優しく寄り添う食中酒としては難しい。
何より、年を重ねる毎に宣貴さんご自身が香り系が飲み辛くなって来られたのだそうです。
そこで、近年は過去に使用して来なかった酵母にも次々にチャレンジし、落ち着いた酒もどんどんリリースされるようになりました。
香り系の酒にも落ち着き系の酵母をブレンドすることで落ち着きと品の良さを出されています。
特に熟成を経て落ち着きと深みが増した酒や、お燗で更に美味しく飲める酒は格別です!
今回の取材の前に私は一度蔵を訪れ、夜は宣貴さんと語り合いました。
なぜ、私が皆様に「松の寿」をお伝えしたくなったのか。
そのことを宣貴さんにお伝えしました。
それは「松の寿」の最大の個性、水の柔らかさを生かしながら、時にはキャッチーに、時には優しく寄り添える。
そんな親しみと美しさを兼ね備えた「松の寿」に惹かれたからです。
水は酒の命。
そのことを改めて教えてくれる酒が「松の寿」
栃木県で最も軟らかい湧き水で醸された「松の寿」
物造りが大好きな下野杜氏の蔵元が水の美味さを前面に押し出した酒「松の寿」
是非皆様に飲んで頂きたいです!
(文章:金巻 忍)
地酒.COMは蔵元との太いパイプにより、
商品の安定供給を受けています。
写真の左にいるのが地酒.COM代表の佐野吾郎、右の方が松の寿(まつのことぶき)松井酒造店の蔵元 松井宜貴(まついのぶたか)さんです。
地酒.COMは松の寿(まつのことぶき)松井酒造の可能性を強く感じ取り、自ら足を運んで取引を申し出ました。蔵元との強い信頼関係により、商品を安定供給できる体勢を取っています。インターネットで松の寿をお求めの際は、是非とも地酒.COM、佐野屋をご利用下さい。
2024年5月
●「全国新酒鑑評会」で入賞!
松井酒造は2024年5月「令5酒造年度全国新酒鑑評会」にて入賞しました。
2023年5月
●「全国新酒鑑評会」で入賞!
松井酒造店は2023年5月「令4酒造年度全国新酒鑑評会」にて入賞しました。
2022年 4月
●「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2022」で大会推奨酒に!
2022年4月24日から27日の4日間、ロンドンでにおいて世界最大規模のワイン品評会「インターナショナルワインチャレンジ2022」のSAKE部門の審査が執り行われました。
2022年4月24日から27日の4日間、ロンドンでにおいて世界最大規模のワイン品評会「インターナショナルワインチャレンジ2022」のSAKE部門の審査が執り行われました。
その結果、純米酒の部において「松の寿 純米 とちぎ酒14」、純米吟醸の部において「松の寿 純米吟醸 夢ささら お蝶夫人」、大吟醸の部において「松の寿 大吟醸原酒 源水点」がそれぞれCOMMENDED(大会推奨酒)に選ばれました。
2021年8月
●「KURA MASTER 2021」にて金賞受賞!
「KURA MASTER」とはフランスで2017年から開催された日本酒のコンクール(品評会)です。
審査員は全員フランス人で、ソムリエ、アルコール飲料のスペシャリスト、レストランやカーブの経営者、シェフ、料理学校など、飲食業界で活躍中のプロフェッショナルなど。全ての出品酒はブラインドティスティングにより審査され、各部門ごとにプラチナ賞と金賞として評価されます。
その結果、純米酒部門において「松の寿 純米吟醸 雄町 火入れ」が金賞受賞を受賞しました。
2020年5月
●「全国新酒鑑評会」で入賞!
2020年5月「令和元酒造年度全国新酒鑑評会」にて「松の寿」が入賞しました。
2020年度の全国新酒鑑評会は新型コロナウィルス感染症拡大に伴う対応として、本来執り行われるはずの結審は中止となりました。予審の結果をもって入賞酒を決定し、金賞酒は選定されていません。
2018年6月
●「KURA MASTER 2018」でプラチナ&金賞受賞!
2018年5月フランスで開催される「KURA MASTER 2018」の純米大吟醸酒&純米吟醸部門において「松の寿 純米吟醸 雄町」がプラチナ賞を受賞、「松の寿 純米吟醸 ひとごこち」が金賞を受賞しました。
「KURA MASTER」とはフランスで2017年から開催された日本酒のコンクール(品評会)。審査員は全員フランス人で、ソムリエ、アルコール飲料のスペシャリスト、レストランやカーブの経営者、シェフ、料理学校など、飲食業界で活躍中のプロフェッショナルなど。全ての出品酒はブラインドティスティングにより審査されます。
2018年10月
●「関東信越国税局酒類鑑評会」で優秀賞受賞!
2018年「第89回関東信越国税局酒類鑑評会」の吟醸酒と純米吟醸酒の各部門において松井酒造店の松の寿が優秀賞を受賞しました。
2017年5月
●「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2017」で銀賞受賞!
2017年5月世界最大規模のワイン品評会「インターナショナルワインチャレンジ2019」のSAKE部門の審査会がロンドンで開催され、その結果、純米吟醸酒の部において「松の寿 純米吟醸 雄町」が銀賞、純米酒の部において「松の寿 特別純米 美山錦」が銀賞、大吟醸酒の部において「松の寿 大吟醸原酒 源水点」が銀賞を受賞しました。