今回の訪問先は和歌山県北部の岩出市にある「吉村秀雄商店(よしむらひでおしょうてん)」
「日本城(にほんじょう)」というのは「吉村秀雄商店」の一般流通商品のブランド前です。
弊社で主に取り扱うのは限定流通の「車坂(くるまざか)」です。
蔵の前の道路を挟んで向かいには、沢山の大きいタンクが!
これらのタンクは現在は使用されていません。
以前は大きい規模の造りをされていたので、沢山のタンクが必要でしたが、現在は造りの規模を縮小されていますので、使用しないタンクを外に出されたという訳です。
取材の合間に蔵の応接室に移動。
「車坂」の酒を色々きかせて頂きました。
ボスも真剣モード!
蔵の作業場に到着しました。
これより中に入り作業の取材!
まずは米洗いの作業から。
翌日に蒸す米を洗い、給水させます。
こちらは麹米の洗米です。
藤田杜氏の手にはストップウォッチが!
洗米も浸漬(しんせき)も秒単位で管理します!
洗った米は仕込み水が入った容器に浸けられ、そこで給水させます。
目標の時間まで給水したら米を引き上げ急いで脱水。
正確さとスピードが要求されます。
こちらは掛米の洗米です。
次々に洗米機に投入し、洗って行きます。
洗われた米はホースを通って運ばれて来ます。
麹米に比べて作業1回当たりの米の量は多くなっていますが、こちらも秒単位で作業時間を管理。
洗米は第二の精米と言われる程、酒の出来を左右する重要な作業です。
作業の合間に藤田杜氏から作業の説明を受けています。
藤田さんはとても説明慣れしていらっしゃり、どんな質問にも丁寧にお答え頂きました。
酒母室に移動しました。
酒の元、酒母を仕込む部屋です。
タンクから漂う香りを嗅がせて頂きました。
こちらにある円い大きな瓶は斗瓶(とびん)です。
斗瓶には1升瓶10本分、18リットルの酒が入ります。
出品酒を採る準備が始まっておりました!
これは麹です。
この麹はもう出来上がっていて、明日の出番を待っている状態です。
麹って、ほんのり甘くて美味しいんですよ♪
地下への入り口を発見しました!
階段からは真っ暗。
明かりが無いと何も見えません。
階段を下り、ゆっくりと奥に進みます。
地下通路の先は酒の貯蔵庫でした!
夏場でも20度台を保てるということで、味を乗せるには最適な場所です。
実は「車坂」の火入れの酒はすぐに出荷されません。
こちらの貯蔵庫で一定期間熟成させ、ようやく出荷されます。
仕込みタンクの横で1枚。
先程から何度も登場しているこの方が「吉村秀雄商店」の杜氏、藤田晶子(ふじたあきこ)さん。
能登杜氏組合に所属されている、能登杜氏さんです。
何と、170年以上続く能登杜氏初の女性杜氏!
能登杜氏四天王の1人、農口尚彦さんの愛弟子です。
藤田さんから醪(もろみ)の説明を受けています。
この醪はもうすぐ上槽(じょうそう)されることになるそうです。
上槽とは醪を搾って酒を採ることです。
こちらは甑(こしき)と呼ばれる米を蒸す装置です。
昨日、洗米、浸漬された米を蒸し上げています。
甑布が蒸気でプーッと膨れるこのシーン。
酒蔵の朝を象徴しています!
間も無く蒸し上がり!
蔵人が一斉に終結。
甑布を取り、蒸し上がった米を順に取り出します。
まずは麹米から。
このようにクレーンで吊って放冷機まで運びます。
昔はシャベルを使って手作業で放冷機に投入していましたが、近年はこのようにクレーンを使用される蔵が増えて来ました。
「吉村秀雄商店」は藤田さんが入られてから蔵の設備を大きく変更されています。
現在の「吉村秀雄商店」の設備のコンセプトは、女性でも作業が出来る蔵です。
蒸し上がった米が放冷機に入りました。
放冷機を通過させることで蒸米を冷まし、乾燥させて行きます。
麹米の場合はこのように、放冷機上で種切りをすることもあります。
種切りとは種麹を蒸米に振り掛ける作業のことです。
沢山の量の種麹を振り掛ける場合は放冷機上で種切りが行われます。
ちなみに、種麹のことをモヤシと言います。
野菜のモヤシとは関係ありません。
放冷機を通過した麹米が出て来ました!
ご覧のように布で受け止めて行きます。
布の先をクルッと捻って麹米がこぼれないようにまとめたら、台車に載せて麹室に移動します!
麹米は温度がとても重要!
急激に温度が下がり過ぎないようにダッシュで麹室に運びます。
こちらが麹室の入り口です。
麹米を床(とこ)と呼ばれる作業台に運び込みます。
床に運び込まれた麹米を均一に広げて行きます。
藤田さんも麹室に到着。
一緒に麹米を広げて行きます。
均一に広げた麹米に再び種麹を振り掛けて行きます。
放冷機と麹室で合計2回種切りをすることで、より多くの種麹を均一に振り掛けることが出来ます。
種麹の種類や振り掛ける量はどのような麹に仕上げるかによって変わります。
こちらは仕込み蔵です。
櫂入れの作業が行われています。
こちらは生もと純米の醪(もろみ)です。
掛米は量が多いので、放冷機からエアシューターで仕込みタンクに送ります。
蒸米が投入されている最中、投入後もひたすら櫂入れは続けられます。
三段仕込みの最後、留添(とめぞえ)ともなると醪はかなり重く、2人掛かりで行われていました。
こちらは酒を搾る圧搾機です。
通称「ヤブタ」
薮田産業製なのでヤブタと呼ばれています。
こちらは蔵の2階です。
ご覧の通り、物干しスペースです。
かつてはここで蒸米を広げて放冷されていました。
隣には旧麹室もありますが、現在は使用されておりません。
こちらは蔵の裏です。
冬の訪問なので、田んぼはお休み中。
こちらの田んぼでは玉栄(たまさかえ)という酒造好適米を栽培されています。
藤田杜氏の趣味は自転車!
仕事の合間にご自身でメンテナンスを行っているのだとか。
オフシーズンにはこの愛車であちこちを飛び回っているそうです。
蔵の前で蔵人さんの集合写真!
チーム車坂です!
懇親会のお店は「旬彩にごろ」さん。
藤田さんの行き付けのお店です。
では、お店の中へ。
乾杯の酒は蔵の看板商品!
車坂の山廃純米大吟醸!
品の良い香り、キレイな米の旨味が広がる美酒です!
「日本酒は食中酒」
藤田さんは料理との調和を大切にした酒造りを行われています。
料理と酒の相性について熱く語って下さいました。
お刺身に合わせる酒はこれ!
その名も「魚に合う吟醸酒」
お刺身にはスカッとキレの良い吟醸酒がピッタリ!
香りが控え目で程良い米の旨味が魚に合う合う♪
鰆の粕漬けに使われている酒粕はもちろん「車坂」
春巻きの中身は干し柿とブルーチーズ。
こうなったらお燗ですよねー♪
根来桜の山廃本醸造!
メチャメチャ合います♪
良い笑顔♪
藤田さんと飲みながら話すのはメチャメチャ楽しい♪
「車坂」は皆様をこんな素敵な笑顔にしてくれる酒です!
写真/清野達也
文/金巻 忍
佐野吾郎の酒蔵訪問記「和歌山県 吉村秀雄商店」 |