吉村秀雄商店(よしむらひでおしょうてん)
●誰もが楽しく幸せに!心に寄り添える酒を目指して!
和歌山県北部の岩出市。
北部には和泉山脈、南部には紀ノ川が流れるこの地域では農作物が豊かに育まれております。
岩出市の観光名所として最も有名なのが根来寺(ねごろじ)
新義真言宗の総本山であり、国宝の大塔や、桜、紅葉の名所としても知られています。
根来寺の南に広がる平野部にある土蔵の酒蔵が今回ご紹介する、「吉村秀雄商店(よしむらひでおしょうてん)」です。
創業者の吉村秀雄さんは生糸の製造を手掛ける吉村家の末子で、十代の頃から灘の酒蔵に奉公に出られていました。
年期が明けた後、地元、岩出に戻り、酒造りを開始したのが「吉村秀雄商店」の始まり。
創業は1915年(大正4年)
造られた酒は「根来桜(ねごろざくら)」という名で大八車に載せて売り歩かれていました。
秀雄さんは李白の詩、「山中与幽人対酌(さんちゅうゆうじんとたいしゃくす)」に感銘を受けられたそうです。
いつの時代においても誰もが酒を飲み、幸せを感じられるようにとの思いで酒造りを開始。
激しさを増す時代においても決して移ろい流されること無く、人に寄り添える酒を醸し続ける。
この思いは創業当時から今も尚受け継がれています。
●「灘の酒にあらずんば酒にあらず」和歌山の酒蔵が灘に進出!
大正・昭和の時代、日本酒と言えば兵庫県の灘でした。
その頃に立ち上げたブランドが「日本城(にほんじょう)」
和歌山県のシンボル、和歌山城にちなんで付けられた名前です。
しかし、当時は「灘の酒にあらずんば酒にあらず」と言われていた程、灘の酒でなければ思うように売れない時代。
そこで、「日本城」で灘の大手に対抗すべく、1923年、吉村秀雄商店は灘に進出するという方法に打って出ます。
一度は撤退したものの、1962年(昭和37年)には西宮市に蔵を新設。
このように「灘の生一本」として「日本城」は最盛期には1万石以上の生産力を誇るまでに大きく発展しました。
●阪神淡路大震災、そして車坂の誕生!
「吉村秀雄商店」に転機が訪れたのは1995年(平成7年)
バブルが崩壊し、更に阪神淡路大震災によって灘の工場は被災。
灘の酒の命とも言える仕込み水の宮水は濁り、蔵は存亡の危機に陥りました。
そこで、全てを清算し、原点に立ち返り、地元岩出市で再起を図ることになりました。
これを機に、真の地酒を目指すべく立ち上げられた限定流通ブランドが「車坂(くるまざか)」です。
「車坂」は地元の契約農家さんが栽培された米を積極的に使用した文字通りの地酒。
歌舞伎の演目にもなっている、小栗判官(おぐりはんがん)伝説に登場する坂から名付けられました。
「車坂」という名前には、労苦を癒し、喜怒哀楽と共にある酒を醸したいという思いが込められています。
また、上り坂を歩むような力強さ、下り坂を駆け下りるような爽快感のある酒、それが「車坂」です。
●山廃に魅せられた能登杜氏初の女性杜氏によって車坂は世界へ!
2012年(平成24年)、長年蔵を支え続けて来た先代の但馬杜氏の勇退により、外部から新しい杜氏を迎え入れることになりました。
それが、現在の杜氏、藤田晶子(ふじたあきこ)さん。
藤田さんは能登流の杜氏集団、能登杜氏の170年以上続く歴史の中で初の女性杜氏です。
東京都出身の藤田さんは、酒造りとは全く無縁の家庭に生まれました。
高校生の時に偶然、微生物をテーマにした番組を見た藤田さん。
微生物の世界に興味を持ち進学したのが東京農業大学の醸造学科。
数ある醸造の中でも日本酒造りに特に魅力を感じ、将来は自ら日本酒を造りたいと決心されました。
日本酒の中でも「山廃」に強い関心を持った藤田さんが門を叩いたのが能登杜氏四天王の1人、酒造りの神様とも称される農口尚彦(のぐちなおひこ)さん。
農口さんの下で約10年間、修業を積み重ねた後、「吉村秀雄商店」に杜氏として迎え入れられます。
能登と和歌山、全く異なる環境での酒造りに対応しながら2年目の2014年(平成26年)からは山廃造りにチャレンジ。
その間も大量生産の名残で小仕込みには全く適さない設備を改善し、蔵も藤田さんを完全バックアップ。
蔵と造り手が一丸となった酒造りが今日も続いております。
藤田さんの酒は芯がしっかりしつつ、時には爽快、時にはしなやか。
旨味の中に品がある農口さんの酒を見事に受け継いでおられます。
近年は海外の市販酒のコンテストでも好成績を収めており、「車坂」への注目度は国内外で増す一方。
日本料理はもちろんのこと、世界各国の料理と共に楽しめる高いポテンシャルを持つ「車坂」は世界の食通を魅了しています。
私は和歌山で一緒に飲む機会がよくあるのですが、藤田さんはとにかく食中酒としての意識が高い。
料理や食材との相性を大切に考えている所は私も深く共感しております。
今回、弊社をパートナーとして選んで下さったのも弊社の発信力、酒質を見極め、食中酒の観点から皆様に提案するスタンスを買って頂けたからこそ。
お取引に至るまで、実に7年。
ジックリ時間を掛けて信頼関係を構築して参りました。
山廃は決してハードルの高い酒ではありません。
「車坂」が山廃をもっと身近な存在に変えてくれます。
皆様、一緒に「車坂」を楽しみましょう!
(文章:金巻 忍)
地酒.COMは蔵元との太いパイプにより、
商品の安定供給を受けています。
吉村秀雄商店(よしむらひでおしょうてん)の蔵元 安村勝彦さんとJIZAKE.COMの佐野吾郎です。
「車坂」の販売はインターネットを代表する佐野屋が蔵元に代わって責任を持って行わせて頂きます。
当店は蔵元との太いパイプにより、商品の安定供給を受けております。インターネットで吉村秀雄商店の商品をお求めの際は、是非とも地酒.COM、佐野屋をご利用下さい。
2023年 5月
●「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2023」で銅メダル受賞!
2023年4月24日から27日の4日間、ロンドンでにおいて世界最大規模のワイン品評会「インターナショナルワインチャレンジ2023」のSAKE部門の審査が執り行われました。
その結果、純米酒の部において、「車坂 特別純米酒」がCOMMENDED(大会推奨酒)、純米大吟醸酒の部において、「車坂 純米大吟醸」が銅メダルを受賞しました!
2022年6月
●「KURA MASTER 2022」にて金賞受賞ラッシュ!
「KURA MASTER」とはフランスで2017年から開催された日本酒のコンクール(品評会)です。
審査員は全員フランス人で、ソムリエ、アルコール飲料のスペシャリスト、レストランやカーブの経営者、シェフ、料理学校など、飲食業界で活躍中のプロフェッショナルなど。全ての出品酒はブラインドティスティングにより審査され、まずは各部門ごとにプラチナ賞と金賞が選ばれます。
その結果、純米大吟醸酒部門において 「車坂 純米大吟醸」が金賞受賞。生酛部門において「車坂 生もと純米酒」が金賞を受賞しました。