高沢酒造は、観光客で賑わう小布施町の中心街から徒歩10分程度のロケーションに位置している。
りんご農家やぶどう農家が周囲にいくつもある農村地帯の中に溶け込むように蔵は建っている。
高沢酒造の専務取締役 高沢暁彦さんと、杜氏を務める奥様の賀代子さん。
この2人が「豊賀」、そして現在の高沢酒造の全てを取り仕切る。
『豊賀の酒の秘密は、麹にあり。』
麹室で、賀代子さんから「豊賀」の酒について語っていただいた。
貯蔵室でのワンシーン。
地元向けブランド「米川」の製造量が「豊賀」よりも多く、タンクは昔からの比較的大きいものが並ぶ。
釜場にて、甑の前で説明を聞く吾郎。
身振り手振りを交えて、熱心に説明をしていただいた。
槽場のワンシーン。しぼりに使うヤブタは、製造石高に対して大型で板の枚数も大きいタイプ。
米の備蓄庫には、出番を控える米が積み上げられていた。
高沢酒造では「しらかば錦」がメインで使われている。
北信濃といえば「戸隠そば」。
円形のざる、ボッチ盛り、そしてそばの実の皮を取らずに挽く「挽きぐるみ」による、風味豊かなそばが特徴。
同じ北信濃の地酒「豊賀」との相性はもちろん抜群だ。
「豊賀」の所在する小布施町は、古くから栗が特産品として有名。
小布施の栗栽培は室町時代から始まったとされており、約600年の歴史を持つと言われている。
歩道を見ると、コンクリートと木のブロックが使われていることに気が付いた。
この木は古くなった栗の木を加工して使われているとのこと。
何気ないところにも「栗の町」らしさが見られる。
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の作品を多数所蔵する美術館「北斎館」。
小布施は北斎が晩年に逗留した地で、この地で多くの作品、肉筆画を遺している。
後に浮世絵が国際的な評価を集め、これに伴う北斎作品の流出に危機感を抱いた小布施町が、作品の散逸を防ぐために「北斎館」を開館させた。
りんごやぶどうを直売している露店でのワンシーン。
はじけそうな大きさ、つやつやの光沢の小布施栗は、見ただけで質の違いが伝わって来る。
観光客で賑わう中心街には、栗を使った和菓子のお店が軒を連ね、技を競う。
小布施の栗菓子の歴史は、古くは江戸時代後期から始まり、200年の伝統を持つ老舗もある。
いずれの店でも、名物の「栗かの子」「栗ようかん」「栗おこわ」を求める人が後を絶たない。
栗のお菓子は、老舗の和菓子ばかりではない。
栗アイス、栗プリン、そしてモンブランに代表される栗を使ったケーキなど、洋菓子も目移りしてしまうほど充実している。
栗好き、スイーツ好きには素晴らしく魅力的な町だ。
土日には行列ができる人気のお菓子という「福栗焼き」をゲット。
外はパリっと焼いたカステラで、中はたっぷりの栗あん、そして大きな栗がゴロンと1つ入っている。
買ったその場で両手にほおばり、小布施の秋を満喫。
古い建物が左右に伸びる「陣屋小路」。
かつて小布施は北信濃の経済の中心地として栄え、江戸時代中期に幕府領として代官所が置かれていた歴史がある。
ここ「陣屋小路」は、歴史の忘れ形見のように往事そのままの姿で残されている。
蔵元サイドにセッティングしていただいた、懇親会のワンシーン。
地元野菜や食材を使った料理を振る舞う居酒屋にて。
米の旨味を出し切る「豊賀」の酒質は、脂の多い料理にも負けない。
ビールに合うソーセージなどの洋食のおつまみとも合うことがこの席で発見できた。
近い将来、広く地酒ファンの間に知られる予感を思わせる銘酒との出会いだった。