残草蓬莱(ざるそうほうらい) 大矢孝酒造
●神奈川の山々に囲まれた、知る人ぞ知る注目の酒
神奈川県北部の山間部に位置する、愛甲郡愛川町。
この一帯は絹糸、農業、工業、そして甲州街道につながる宿場町として栄え、現在では厚木市や相模原市のベットタウンとして開発が進んでいます。
周囲を山々に囲まれた盆地で、冬の冷え込みは県内でも一番というこの地に、日本酒ファンにぜひ覚えて頂きたい新進気鋭の酒蔵があります。
残草蓬莱(ざるそうほうらい)という名の酒を造る、大矢孝酒造(おおやたかししゅぞう)株式会社です。
酒造業としての大矢孝酒造の歴史は、江戸後期の文政13年(1830年)が始まりですが、大矢家の家系図を紐解くと、初代当主は戦国時代にまで遡ります。
戦国時代、この地域で武田信玄と北条氏康との間で合戦があり、大矢家の初代は北条方の騎馬隊長を務めていました。
この地には田代城という城があったそうですが、その合戦の中、城主が武田側に寝返るという噂があり、真偽を確かめる為に城に向かいました。
しかし、城に入って間もなく、北条側の敗北で合戦は終わります。
その時に何か思う所があったのでしょうか、大矢家の初代は武士であることを辞め、この地に土着する決心をしました。
これが大矢家の始まりです。
大矢孝酒造の母屋には、とても立派な木が2本立っています。
初代当主はこの地に住み始めたときに、家が栄えるようにと欅(けやき)を家の周りに沢山植え、その当時の木が400年を超える年輪を重ね、今日も蔵元を見守り続けています。
●強い信念で独自の道を切り開く若い蔵元
写真は大矢孝酒造の8代目蔵元、大矢俊介さん。
大矢家の初代当主から数えて20代目に当たります。
大矢さんは昭和51年生まれの若い蔵元。
先代が倒れたことがきっかけで、平成12年に後を継ぐ形で蔵入りすることになりました。
当時の大矢孝酒造は普通酒を中心に造っていて、酒造り自体が全く面白く無かったそうです。
そんな大矢さんに平成17年に大きな転機が訪れます。
大学の先輩にあたる「丹沢山」の蔵元に勧めてもらった「ある酒」との出会いが、大矢さんの気持ちを大きく動かしたのです。
『これはお燗で飲んで素晴らしい酒!普通酒だけじゃなく、こんな酒を造っても良いんだ!』
その酒が、現在も地酒ファンの間で評判の高い、埼玉県の「神亀」です。
この出会いがきっかけで、現在、神亀の蔵元とは家族ぐるみのお付き合いをされているそうです。
●「昇龍蓬莱」の誕生
「昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)」とは、大矢俊介さんが全国ブランド向けに立ち上げた銘柄です。
「昇龍蓬莱」は全て生もと造りで仕込まれています。
それに対し、現代の酒造りの主流である速醸(そくじょう)で仕込まれた酒は「残草蓬莱(ざるそうほうらい)」というブランドで展開されています。
「昇龍蓬莱」のネーミングの由来は、勢いがある名前であることに加え、大矢さんが辰年生まれで、酒造りの世界に入ったのも辰年ということで、「龍」にとても縁があるこということからこの名前になったそうです。
●「明日も飲みたいね」という酒が造りたい!
今回、とても印象的だった出来事があります。
新規お取り引きの商談と取材で蔵訪問した際には、どこの蔵でも必ず利き酒をさせて頂きます。
今回も利き酒をすることになったのですが、「それじゃあ行きましょうか。」と言われて連れて行って頂いたのが、蔵の中ではなく、蔵から歩いてすぐの焼き鳥屋さんでした。
『蔵の中でやる利き酒って、正直微妙だと思っているんです。普通酒を飲む時って、料理を食べながら、誰かとしゃべりながら飲むじゃないですか。酒を評価するレギュラーの環境って、実はこういう環境じゃないのかなって思っているんです。』
と、大矢さんは話して下さいました。
懇親会として料理をセッティングして頂くことは何度もありましたが、利き酒自体をこういうスタイルで行う蔵元は初めて。
また、商品ラインナップを紹介して頂いた時に「今は20BYや21BYという、若い酒しかご用意出来ないんですけど…。」とおっしゃったのも印象的。
1年そこそこの熟成では酒は若いとの考えていらっしゃいます。
そんな「大矢孝酒造」の目指す酒造りは、テイスティングの一口だけで満足して終わるような酒では無く、『今日飲んだこの酒、おいしいね。明日もまた飲みたいね。』と思って頂けるような酒を造るということです。
まだ若い蔵元ですが、これらのエピソードから強い信念と確固とした哲学をお持ちであることが伺えました。
●少数精鋭の若い蔵人がチームワークで酒を造る!
大矢孝酒造の酒造りの規模は小さく、製造量は年間200石から300石程度。
大矢さんを始め、平均年齢30代の若い蔵人が一丸となって作業に当たっています。
今回は仕込み中の現場を見学させて頂きましたが、活気があり、各人が持ち場をてきぱきとこなし、時に冗談を言いながら笑顔でコミュニケーションを交わしている様子が印象的でした。
スタッフの集合写真の撮影の際に、最初は横一列に並んだ写真を撮影する予定が、某男性グループの「あのフォーメーション」で撮ってみましょうか、という話になり、こちらの写真が出来上がりました。
全国的にはまだまだ無名の酒ですが、埼玉の「神亀」との共通点が見られる「燗酒向けの熟成酒」というジャンル。
そして、自らのスタイルを確固として打ち立て、抜群のチームワークで酒造りに向かう大矢孝酒造を、弊社は応援して行きます。
地酒.COMは蔵元との太いパイプにより、
商品の安定供給を受けています。
写真の左が残草蓬莱(ざるそうほうらい)の蔵元、大矢俊介さん。
右が地酒.COM代表の佐野吾郎です。
「残草蓬莱・昇龍蓬莱」の販売はインターネットを代表する佐野屋が蔵元に代わって責任を持って行います。
蔵元との太いパイプにより、通年商品はもちろん、季節限定品も取引させて頂いております。
インターネットで昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)、残草蓬莱(ざるそうほうらい)をお求めの際は、是非とも地酒.COM、佐野屋をご利用下さい。
2020年 3月
●「dancyu」に「残草蓬莱 純吟 Queeen」が掲載!
2020年3月号の食関連雑誌「dancyu」の「注目の酒」特集において「残草蓬莱 純吟 Queeen 槽場直詰生原酒」が取り上げられました。体にやさしく、旨味も香りも楽しめる低アル原酒のおすすめ1本として紹介されています。
2019年 3月
●「dancyu」に「四六式(よんろくしき) 特別純米」が掲載!
2019年3月号の食関連雑誌「dancyu」の「注目の酒」特集において「残草蓬莱 四六式(よんろくしき) 特別純米 槽場直詰生原酒」が取り上げられました。日本酒の大革命・白麹を添・仲・留すべてに使用した酒として紹介されています。
2017年 6月
●NHKテレビ『首都圏ネットワーク』に出演
2017年6月30日18時10分放送の、NHKテレビ『首都圏ネットワーク』にて、大矢孝酒造が出演いたします。キャスターの坂本沙織さんと椎名林檎のお兄さんである、椎名純平さんが蔵をリポート。番組内では「残草蓬莱 純米吟醸 出羽燦々50」が紹介される予定です。
2016年 4月
●『第97回 南部杜氏自醸清酒鑑評会』にて2部門受賞!
2016年4月、「平成27酒造年度 第97回 南部杜氏自醸清酒鑑評会」にて、「残草蓬莱 純米大吟醸 酒こまち35」が純米酒の部で次席、純米吟醸酒の部で優等賞を受賞しました。
2016年 2月
●雑誌『サライ』2016年2月号「今年呑むべき日本酒30本」にて大矢孝酒造が特集されました!
雑誌『サライ』2016年2月号「今年呑むべき日本酒30本」にて「残草蓬莱 純吟 Queeen 槽場直詰生原酒」が選ばれました。
さらに「1年で激変する、日本酒の最前線」にて"低アルコール原酒で二日酔い知らず"という見出しで、大矢孝酒造が特集されています。
2015年 7月
●「第7回 雄町サミット」にて優等賞受賞!
平成27年7月30日に「ホテル椿山荘東京」で開催されました。
「第7回雄町サミット」歓評会にて、全国から岡山県産「雄町」を使用した酒が、166点出品される中、専門家たちの審査により、純米酒の部で「昇龍蓬莱 生もと純吟 雄町60 槽場直詰生原酒」が優等賞受賞酒に選ばれました。
2014年 6月
●『週刊朝日6/20号』に「残草蓬莱 特別純米」が掲載。
2014年6月20日号の『週刊朝日』に「残草蓬莱 特別純米」が掲載されました。
歴史をなおざりにしない、人生の機微を味わう酒として「残草蓬莱」が紹介されています。