JR有田駅から、車で移動すること約15分。
伊万里市の主幹道路である国道202号線沿いに、古伊万里酒造の酒蔵が居を構えている。
早速酒蔵の見学をさせていただいた。
この木桶は仕込用のものに見えるが、実は「蒸し」で使用している現役の甑(こしき)。
鋳物や金属性が多い中、木製はたいへん珍しい。
古伊万里酒造では2月上旬に皆造を迎えたので、今回訪問した時は仕込み作業は全て終わっていた。
麹室も清掃と片付けが終わっており、整然とした室内で説明を聞く店主。
仕込みタンクが並ぶ貯蔵室にて。
タンク番号の他にチョークで書かれた数字の意味が気になり、説明を聞くワンシーン。
もろみタンクの1本を見せていただく。
発酵中のもろみ特有の甘い香りを確かめようと、手で仰いで吟醸香をチェック。
こちらは発酵が終盤に差し掛かったもろみタンク。
泡も落ち、香りの量も適度に落ち着き、いいもろみに仕上がっているように思えた。
これが「古伊万里 前(さき)」シリーズの人気商品、「垂直落下式」シリーズをしぼる秘密兵器。
酒袋に入ったもろみから、自然落下した滴だけを集めた酒とのことで、そこだけ聞けば
従来の「滴取り」と同じようだが、一般の袋吊りとははるか違う大掛かりな設備が目を引く。
ここからどのような酒が生まれてくるのか。蔵出しされる日を楽しみに待ちたい。
古伊万里酒造にはヤブタがなく、全て昔ながらの木槽で酒はしぼられる。
木槽でしぼった酒は、やはり出来るものが違う、と語る悟さん。
蔵にお邪魔した時は、ちょうど槽場での作業の途中だった。
忙しい中、撮影させていただいたワンシーン。
休憩時間になったので、恒例のスタッフ集合写真もお願いしました。
蔵見学を終えて販売所にて、有田焼のカップに入ったカップ酒を手にする店主。
「NOMANNE(ノマンネ)」と名付けられたこの商品、お土産や贈り物でヒットを記録しており、
今後は香港など海外展開も視野に入れている看板商品の1つ。
古伊万里酒造は海外の品評会でも数々の受賞歴があり、その実力は折り紙付き。
全米日本酒歓評会で金賞(ゴールドアワード)受賞の賞状を手に記念撮影。
酒蔵周辺の観光地として、多くの伊万里焼きの窯元が並ぶ「鍋島藩窯公園」に案内してもらった。
伊万里焼の中でも特に芸術性が高い「鍋島」と呼ばれるものはここで製作され、将軍家や大名への献上品に用いられた。
当時「鍋島」の製作は秘法とされており、周囲を切り立った山々に囲まれたこの地には藩の関所が設けられ、
藩の最高機密として厳しい管理下のもと製作されていた。
赤レンガで組まれた四角い煙突が、当たり前のように立ち並ぶ光景も伊万里ならでは。
その中でも特に大きいものがこちらの窯元。
その高さと歴史の重みに足を止める店主吾郎。
窯元の1つにお邪魔させていただき、ギャラリー内で撮影した1枚。
透き通るような白さの上に、趣向を凝らした美しい装飾が施された数々の磁器が、訪れる人の目を楽しませる。
今回訪問したのは2月なので、梅の花などの初春らしいデザインの磁器が目立った。
写真のティーカップ1つ取っても、細かい装飾が施されているのがおわかりいただけるだろうか。
鍋島藩窯公園を訪れると必ず目にするのが、この伊万里焼の橋。
欄干には色鍋島の壺が立ち、周囲は伊万里焼がびっしり敷き詰められている。
思わず目を止める店主吾郎。
一通りの取材を終えて、蔵元がセッティングしてくれた懇親会へ場所を移動。
今回は伊万里牛のコースをセッティングしていただいた。
前菜、サラダ、牛テールスープが出た後、シェフが目の前で調理を行い、できたてをお皿に盛りつける。
ここ「ステーキハウス つじ川」は、蔵元によると予約なしでは席が取れないお店とのこと。
元テニスプレイヤーの松岡修造さんもここを訪れたことがあり、記念の写真が飾られていた。
フランベの瞬間を激写!
ミディアムレアに焼き上がったステーキは、ジューシーでやや甘味を感じさせる肉の旨味もさることながら、
すごく柔らかい肉質で、食べた人をさすがと唸らせる逸品。
そして意外にも、味がしっかりしている「前(さき)」の生原酒とも好相性!
伊万里牛の魅力と、古伊万里の酒の魅力を心行くまで堪能させていただきました。