八戸酒造の酒蔵は大正4年〜13年に建てられ、白壁、木造の他にも赤レンガが使われたモダンな外観。
2011年に国の登録有形文化財、また青森県では初となる景観重要建造物にも指定されている。
蔵に到着したときは、ちょうど甑がもうもうと蒸気を上げているところだった。
蔵元の駒井さんに説明と案内をしていただいた。
八戸酒造の甑は、ご覧のとおり上下に分離できる少し珍しいタイプ。
上半分に蒸し米、下半分に蒸しのための熱湯が入っている。
蒸し米を放冷機に投入する。
立ち昇る蒸気と格闘しながら米を機械へ送り込む。
放冷機で荒熱を取り除いた米を、麹室へ引き込む。
次々と流れてくる米を、蔵人が走って麹室へ運ぶ。
麹室に引き込まれた米を、目標の温度まで下げるために手入れを行なう。
このときの麹室の湿度は90%を超えており、カメラのレンズも曇り気味になる。
仕込み部屋への入り口。
まるで京都の旅館を思わせるような佇まいで見学者を出迎える。
八戸酒造の仕込み蔵は、赤レンガの壁と天井に並ぶ赤い鉄骨がたいへん印象的。
鉄骨は大正時代に蔵が建てられた当時、ヨーロッパから船で輸入したもの。
酒蔵としてはもちろん、建築物としてもたいへん珍しい。
もろみを櫂入れしているワンシーン。
櫂棒でもろみに偏りが出ないように、しっかりと撹拌を行なう。
ビン詰め現場へ向かう通路に掲げられている「陸奥男山」の看板。
八戸酒造のシンボルの1つ、「男山」と書かれた白壁土蔵の貯蔵蔵。
近江商人時代の屋号「山二星」が掲げられている。
蔵のテイスティングルームで、商談を行なうワンシーン。
佐野屋の考え方や販売戦略を説明する店主と、熱心に耳を傾ける蔵元。
無事に商談が成立し、佐野屋に陸奥八仙が加わることが正式に決定。
商談が成立したので、さっそく恒例の集合写真をお願いした。
今回は正面だけでなく、ナナメからのアングルもご紹介。
八戸酒造は、車で5分ほどのところに八戸漁港があり、海が近い。
蔵の横を流れる新井田川も川幅が広く、海鳥がたくさん飛んでいた。
八戸漁港に足を運び、海を臨む吾郎。
八戸漁港はイカの水揚げ日本一の港。大きなイカ釣り漁船が何隻も停泊していた。
八戸市は漁港を有しているため、海の幸は豊富で新鮮。
春は刺身で食べられるサバ、夏はウニやアワビが甘味を帯びて旬を迎え、秋は脂の乗ったサンマ、そして冬は真鱈。
しかしそれだけではない。
青森県産ブランド地鶏「シャモロック」、チャンピオン牛を輩出した「倉吉牛」といった肉類も手に入り、「せんべい汁」というB級グルメも存在する。
第1回B-1グランプリは、ここ八戸市で開催されるなど、八戸市は「食の都」という側面も持っている。
蔵元に案内してもらった「八食センター」の魚市場にて。
水揚げされたばかりの魚介類が市場に並べられ、見ているだけでも楽しい気分になる。
八食センター内の回転寿司店にて。
回転寿司と言って侮るなかれ。ネタはとても新鮮で、とにかくうまい。
「せんべい汁」を蔵元に振る舞っていただいた。
鶏肉ベースにしょうゆ味のさっぱりした出汁に、八戸せんべいを割り入れる。
出汁を吸った八戸せんべいが、麩のような食感で楽しめた。
お寿司と併せて「陸奥八仙」をいただく。
おいしい食べ物が揃う土地では、それに合わせる酒も高いレベルに磨かれるのだろう。
「陸奥八仙」は、まさに「食の都」八戸市が育んだ美酒である。