今回の訪問先は秋田県横手市の阿櫻酒造。
伊丹空港から飛行機に乗り、秋田空港到着に到着しました。
空港からはタクシーと奥羽本線を乗り継ぎ約1時間。
秋田県南部に位置する県内第二の都市、横手市へ!
横手駅に到着しました。
待って下さっていたのは、阿櫻酒造の蔵人兼営業部長の稲上さん。
空港に着いた時の大雪がまるで嘘のよう!
空を見上げると晴れ間も覗いていました。
横手市の中心部から車で約10分の距離に阿櫻酒造があります。
ちなみに、自然環境に恵まれた阿櫻酒造の前を通る道は「平和街道」と言う名前だそうです。
上がっている湯気で雪を溶かすあたりは雪国ならでは。
蔵の玄関の横にあった「かまくら」のカップ酒の自動販売機。
「かまくら」は昔から地元向けブランドとして売り出されていました。
流通量があまり多くないこともあって、現在この自動販売機は使われていないようです。
玄関を入ってすぐのロビー。
各種鑑評会の賞状が沢山飾られていました!
そして、ご覧下さい!
阿櫻の鏡割りガチャ!
回したかったのですが残念ながら故障中でした…。
阿櫻の看板商品と共に歴史を感じる一斗瓶が!
かつては地元向けの普通酒を中心に造っていた阿櫻酒造の歴史を垣間見ることが出来ます。
こちらは精米の様子です。
阿櫻酒造は自社で精米されています。
今回は阿櫻酒造で最も多く使われる酒造好適米の美郷錦(みさとにしき)を精米されていました。
阿櫻酒造で使われる米の多くは、大潟村など県内の契約農家さんが栽培されています。
続いて洗米の作業です。
この日仕込んでいた米は美郷錦と秋田酒こまち。
どちらも阿櫻ブランドの看板商品となるだけに米をチェックする目も厳しいです。
洗米にはウッドソンも使用されています。
バッチ式の洗米機です。
阿櫻酒造では殆どの洗米にウッドソンが使用されています。
良い蒸し米に仕上げる為にはその前の洗米、浸漬がとても重要です。
こちらの方が阿櫻酒造の杜氏、照井俊男(てるいとしお)さん。
この道45年以上の大ベテラン!
蔵人から、阿櫻酒造=照井杜氏と言われる程、全幅の信頼を寄せられています。
甑(こしき)の米が間も無く蒸し上がります。
酒蔵の朝と言えば甑からモクモクと上がる蒸気をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
この日の朝の気温は0℃。
地元の方がおっしゃるには今年は雪が少ないそうですが、横手市の冬の朝は極寒です!!
そんな極寒の中で米を蒸すので、甑にカバーをかけて保温しています。
さあ、米が蒸し上がりました。
ヨイショ!ヨイショ!!
甑(こしき)の移動です。
車輪が付いているとは言え、蒸米が入った甑を移動するのは大変!
蒸し上がった米を放冷機に投入して行きます。
蒸し米をスコップで掘る作業はなかなかの重労働。
手際良く放冷機へ入れていきます。
放冷機で蒸し米を乾燥させていきます。
画像の蒸し米は麹米で、放冷機上で種麹が振り掛けられます。
種麹が振り掛けられた蒸し米が放冷機から出て来ました。
この米は麹室(こうじむろ)へ運び込まれます。
稲上ダーッシュ!!
いつもは穏やかな稲上さんも酒造り中はスイッチが切り替わります。
酒造りはパワーとスピードも要求されるのです!
麹米が麹室の床(とこ)に引き込まれました。
照井杜氏が指示を送られていますね。
麹の状態を手に取ってチェックする照井杜氏。
残り少なくなった米も決して無駄にはしません!
クレーンで吊るし上げて放冷機へ。
照井杜氏が見守る中、米はどんどん運ばれていきます。
エアシューターで飛ばされた米を仕込みタンクに投入しています。
酒造りではお馴染みの櫂入れの作業です。
こちらは圧搾機です。
もろみはこの機械で搾られ酒になります。
搾られた酒は垂れ壷に集められます。
搾りたての酒の良い香りが漂って来ます。
搾りたての酒を利いている照井杜氏。
出来栄えはいかに!?
夜は横手市内にある、「旬彩和食処 竜美」さんへ。
さすがは東北有数の豪雪地帯。
市内と言えど雪深く、日が暮れると冷え込みがさらに厳しくなって来ました。
懇親会の始まり♪
造りの真っ最中にも関わらず、照井杜氏が参加して下さいました。
稲上さんも参加して下さいました。
蔵人として、営業マンとして大活躍の稲上さん。
阿櫻酒造の看板を背負っていらっしゃいます!
食中酒として、料理に寄り添い実力を発揮する「阿櫻」
旨味と酸が生きた味わい深い酒です。
照井杜氏と稲上さんから色々な話を伺うことが出来ました。
「阿櫻」を全国的なブランドにするべく、東京や大阪に出て、手売りで営業して回るなど様々な苦労があったそうです。
その苦労の甲斐あって、首都圏から徐々に取扱店が増え、現在に至ります。
酒販店や飲食店さんを大切にしている姿勢を垣間見ることが出来ました。
「まずはやってみよう。」
これは照井杜氏の言葉です。
営業から上がって来た様々な無理難題に対して決して「No」とはおっしゃらない照井杜氏。
今日は酒造りや山内杜氏の歴史について話して下さいました。
秋田県の数々の郷土料理と「阿櫻」、そして酒の話。
とても楽しく有意義な懇親会でした。
ちなみに、後日談ですが、照井杜氏と稲上さんはこの後、蔵に戻ってからも酒を飲みながら勉強会をされたそうです。
写真/Tatsuya Kiyono
文/Nakajima