試飲会というのは一度にたくさん試すので、「1本飲んで美味しさがわかる」というじっくりタイプのワインは分が悪く、地味目に作られたタイプのシャブリはだいたいスルーになります(笑)

ところが、このジルベール・ピクのシャブリ、派手というわけでもないのですが、グッときたっ!旨味が乗ってるんです。

一口だけでも美味しい。1本飲んでも飲み飽き、飲み疲れなし。これはいいっ!

そういうわけで、当店でずっと売れ続けているシャブリです。

リピーターの多さが美味しさを証明してくれています。

薄いレモンイエロー。

グレープフルーツやライムなど柑橘果実のような爽やかな香りに蜂蜜のような香りも。

アタックは、シャブリとしては意外なほどにしっかりとした風味が大きく広がります。

シャブリらしいフレッシュな爽やかさはもちろんですが、特筆的なのはその旨味!

滋味があるというか、ノーマルシャブリとは思えないほど味に厚みや奥行き、ミネラル感があり、プルミエやグランクリュと間違えてしまうほど。

「牡蛎にはシャブリ」とよく言いますが、レモンをしぼった生ガキはもちろん、鍋物に入れるも良し、牡蛎フライも油を流すウォッシュ効果で美味しそう!

新鮮な魚介のお刺身やお寿司にも良く合うと思います。

冬場なら、水炊きにもお薦めです。

普段よりちょっといい白ワインが欲しい時に絶好の１本です。

輸入元とこの生産者は1985年以来の長い取引実績で、最もよいタンクを厳選して瓶詰めしてもらっているとのこと。

是非一度お試しください。

畑：東向きと北東向き。標高150-200m。

土壌：粘土を豊富に含む石灰岩、牡蠣の貝殻の化石を含むジュラ紀後期のキンメリジャン。

醸造・熟成：シシェ村の五つの区画の葡萄を別々に醸造。

11-13度に保ち、ステンレスタンクで12ヶ月熟成。

1895年からワイン造りを行う生産者。

現在のオーナーは1958年生まれのディディエと1962年生まれのパスカル。

シャブリとプルミエ・クリュに合わせて13.65haの畑を所有しています。

私どもとの取引は1985年からで、毎年必ず訪問していますが、今だに初めてこのドメーヌへ行ったときの感動は忘れがたいものです。

私どもは、このドメーヌを訪れて初めて、品質のよいシャブリがいかに長くいい状態を保ち続けるか、身をもって知らされました。

訪問するたびに、まず畑ごとに分かれているタンクから新しいワインをテイスティングし、そして過去へ10年位さかのぼって比較試飲するということを、いつもディディエ・ピクはやってくれます。

10年以上経ったシャブリですら素晴らしい状態をキープしています。

20年来肥料は自然物で、現在は馬、牛、羊、鶏の糞のオーガニック肥料を使用。

2005年から選果テーブルを採用し健全なぶどうを100%使用できるようになったため、2006年から天然酵母で発酵。

(天然酵母は発酵に時間がかかり、澱が循環してワインがリッチになる)

「ル・クラスマン」「ギド・アシェット」などに掲載され高い評価を得ており、特にフランス国内ではよく知られ、フランスのソムリエの選ぶノーマル・シャブリ　ベスト５には必ずと言っていいほどピク家が選ばれています。

(文章：佐野 雅子)