《掘り出しもの　お値打ちの熟成ボルドー》

「ボルドーでこの価格ならスルーでいいか」って、最初は思ってました。
なかなかこのお値段で満足のいくものを探すのは難しい産地ですから。
しかも付加価値の付く熟成酒ですし。

ワインの仕入れは、試飲会の他にも輸入元の営業さんが店に持ち回ってくれるワインを試す機会もあります。
このワインも持ち回りワインを試したうちの1本でした。
これは仕入れなきゃと思ったのは、小一時間の商談を終えグラスに残ったワインを再度試飲した時。
グラスの中で10年の熟成がまさに花開いていました。

《シニアソムリエまーちゃんのテイスティングコメント》

少しオレンジのニュアンスを感じる赤。
干し柿やあんずジャムのような独特の甘い果実香に加えて、炭やインクのような香りも。
若いワインにはない美しい熟成香。
味わいはまだ十分な果実味を残していて、赤い実、黒い実の熟した果実味と白コショウのようなスパイシーさも。
赤い実寄りの程よいボディ感の果実味に、心地良く程良い樽の風味。
若いボルドーにある硬さが抜け、タンニンも酸も角がなくまろやかに溶け込んだ穏やかな味わい。
余韻も長く続き、気持ちがゆったりします。

このくらいの価格だとは若くして消費されてしまいがちで、結果あんまり美味しくない・・ってなりがちなボルドー。
ですが、熟成してこそ真の美味しさを発揮することを改めて実感しました。
ワインを飲み慣れた方なら喜んでいただける価値があり、また熟成酒に慣れていない方にも楽しんで頂ける味わいです。

重すぎないので、夏にも楽しめる熟成ワインです。
少し冷やして飲み始め、温度変化で変わっていく香りや味わいの表情をゆっくりお楽しみくださいね。

《3ヴィンテージ揃ってるから飲み比べも楽しめる！》

実は2014年ってボルドーは特別いいヴィンテージってわけではないんですね。
でも、ヴィンテージの良し悪しってワインの味に直結するってわけでもないんです。
早めにやってきた飲み頃に丁度出会ったり、厳しく選果や少量リリースすることで逆に美味しくなるってことも。
このワインも2014年でこの出来ならと、ビッグヴィンテージの2016年や、2015年にもとても興味が湧きました。
そこで3ヴィンテージとも飲み比べし、結果全て採用となりました。
2016年はまさにビッグ・ヴィンテージな味。大柄で力強く、ボルドーファンのみならずニューワールドファンにもお薦め。
2015年は程良くボディもありつつ、2014年に感じる繊細さも両立しています。
ヴィンテージの違いを実感できる楽しいチャンスです。合わせて是非どうぞ。

《ワイナリー・ワインの情報》

シャトーは、ボルドー市街から北西に60kmのメドック北部のベガダン村にあります。
葡萄畑はジロンド川から3kmに位置し、川からの良い影響を受けています。
面積：21ha、表土は砂利で、下層土は粘土石灰質。平均樹齢：23年。
収穫：手摘み。選果テーブルで厳しく選別。
発酵：区画ごとにコンクリートタンクとステンレスタンク(24-26度に温度管理)
熟成：バリック(40％新樽、一部アメリカンオーク)で14-18ヶ月

2014年ヴィンテージ：デカンター2021年3月　91点獲得

(文章：佐野 雅子)